イベント駆動アーキテクチャ(EDA)を“やさしく深く”理解する:同期を避けたがる理由と実務での使い所を図解で解説【システム設計の基礎】

🧠【初心者向け】イベント駆動アーキテクチャ(EDA)とは何か?やさしく解説(図解あり)

Webアプリの世界でここ数年、
急速に広まっているのが イベント駆動アーキテクチャ

  • バックエンド同士の同期通信が重くなる
  • 大規模アプリが複雑化する
  • マイクロサービス同士の依存が爆発する

こうした課題解決のために
“イベント(事実)を中心にシステムを動かす” 方式が注目されています。

しかし、

  • 具体的に何が「イベント」?
  • 同期処理と何が違うの?
  • Kafka や Pub/Sub と何が関係ある?
  • どんな時に採用すべき?

など、仕組みが見えにくく初心者が混乱しやすい領域です。

この記事では
初心者向けの分かりやすい説明 → 内部構造の深掘り の順で
イベント駆動アーキテクチャの“本質”を理解できるよう整理します。


✨ 結論

✔ イベント駆動アーキテクチャの本質は「事実を発生させ、反応させる」

✔ サービス同士を“直接呼ばない”ことで疎結合になる

✔ バックエンドの同期地獄(依存爆発)を防げる

✔ Kafka / PubSub / EventBridge は EDA を実現するための仕組み

✔ ただし万能ではなく、用途を誤ると逆に複雑化する


イベント駆動アーキテクチャとは?

“何かが起きた” という事実(イベント)を発生させ、
それを必要とするサービスが後で処理する仕組み。


🔹 図解(短線版)

[注文API]  
   ↓ Event(OrderCreated)
[在庫サービス] ← 必要なら読む  
[通知サービス] ← 必要なら読む

👉 注文APIは「事実」を発行するだけ。
👉 誰が読むかは気にしない。


同期通信との違い(初心者向け)

✔ 同期(REST)

注文API → 在庫API → 通知API → 完了
  • 相手が落ちていると全体が止まる
  • レイテンシーが積み重なる
  • 依存が増えるほど複雑化

✔ イベント駆動(非同期)

注文API → EventBus(OrderCreated)
        ↓ 自動で「購読者」に通知
  • 相手が落ちていてもOK
  • 後で処理できる
  • 依存関係が極端に減る

イベントとは何か?

イベントの代表例:

  • OrderCreated(注文が作られた)
  • UserRegistered(ユーザー登録完了)
  • PaymentFailed(支払い失敗)

“過去に起きた事実” を表す


イベント駆動のメリット

✔ ① サービス間の依存が激減する

直接呼び合う構造(同期)は依存が爆発しやすい。

✔ ② レスポンスが速くなる

必要な処理だけ同期で返し、残りは後処理に回せる。

✔ ③ 障害に強くなる

相手が落ちていても、イベントが残る限り後で処理できる(耐障害性UP)。

✔ ④ スケールしやすい

購読者(消費者)を増やすだけで処理能力UP。


イベント駆動のデメリット

✔ ① 目に見えない“裏での処理”が増えやすい

ブラックボックス化しやすい。

✔ ② デバッグが難しくなる

非同期なので「どの順番で実行されたか」が追いにくい。

✔ ③ トランザクション管理が複雑

整合性の中心を「イベント」に置く必要がある。


ここまでのまとめ(初心者向け)

  • イベント=“過去に起きた事実”
  • 同期より疎結合で障害に強い
  • Kafka などは EDA を支えるプラットフォーム
  • ただし万能ではなく、非同期特有の複雑性がある

▼▼ 深掘り編ここから ▼▼


イベントブローカー(Event Bus)の内部構造

EDA を支える中心が イベントブローカー

Kafka / PubSub / EventBridge / RabbitMQ などが該当。


🔹 図解(短線版)

Producer(発行者)
       ↓
     Topic
       ↓
Consumer(購読者)

✔ Topic(トピック)

イベントを種類ごとに分類する“箱”。


✔ Partition(Kafkaの特徴)

Topic を分割して並列性を高める。


✔ Consumer Group

複数の消費者で負荷分散。


ざっくり分かる Kafka の強さ

Kafka が評価されている理由:

  • 圧倒的な throughput(秒間数百万件)
  • 永続化(ログとして残せる)
  • 冗長性(複数ノードで複製)
  • 過去のイベントを再処理できる
  • 生データ連携に強い

EDA の本質:状態を持たない“イベントストリーム”

EDA のキモは
イベントは状態そのものではない
という点。


✔ 「状態」は各サービスが持つ

✔ 「イベント」は事実の通知だけ

OrderCreated が来たから、在庫を1減らす

という形で、状態の更新ルールを各サービスが担当する。


Event Sourcing(発展)

EDAの延長でよく誤解される概念。

  • Event Driven Architecture(EDA)=通知の仕組み
  • Event Sourcing(ES)=状態を“イベントの履歴”で表す方式
注文ID=12 の現在の状態
= OrderCreated → OrderPaid → OrderShipped の積み上げ

→ 別モノなので要注意!


EDA の採用判断基準(プロ視点)

採用すべきケース:

✔ 大規模で同期依存が増えすぎた
✔ 後続処理を非同期化したい
✔ スケールアウトしたい
✔ クラウドネイティブ構成を目指す
✔ 外部システム連携が多い

逆に 採用すべきでないケース:

✘ 小規模(同期で十分)
✘ イベントの意味付けが曖昧
✘ デバッグ・監視基盤が整っていない
✘ チームがEDAに不慣れ


Deep Friendly Tech の一言(後書き)

イベント駆動アーキテクチャは
「同期依存による複雑性」からシステムを解放する思想です。

事実を中心に世界を組み立てることで、
サービス同士は独立を保ち、
障害にも強く、スケールも容易になります。

ただし、便利そうに見えて “実装も運用も簡単ではない” のが現実です。
アーキテクチャは魔法ではありません。

大切なのは
「なぜEDAにするのか?」という理由と言語化

あなたが設計議論に参加する日に向けて、
今の理解が必ず武器になります。

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